この物語はフィクションです

実在の人物、団体とは関係ありません。

いわゆる精神病を患っている。

世間からは偏見の目で見られるし、親の理解も得られていない。親からは「お前が死んでも仕方がないと思っている」と宣言されている。製造元である親にそう言われているのだから、どうしようもない。不良品だ。

多方面を敵に回しそうだが、別にこの病を理由に何かメリットを得たことはないし、それで構って欲しいと思ったこともない。もしかしたら周りからはそう思われているかもしれないが、少なくとも僕自身はそう思ったことはないし、今のところカウンセリングでそれを指摘されたこともない。指摘されてるのは家族の機能不全と完璧主義くらいで、根本的な問題は未だ不明なままだ。家族と性格の問題が根本的なものとするかは別として。

似たような症状の人を何人か知っている。母数が少ないので、それが全てというわけではないが、すくなくとも彼らも同様にデメリットの方が大きいように感じる。「働きたいのに働けない」というのが共通した問題だと思う。

甘えたことを、と思うだろう。大丈夫。僕らもそう思っている。なんて甘えたことを言っているんだろう。なんで働けないんだろう。なんで継続して勤務ができないんだろう。僕の価値はどこへ行ってしまったのだろう。国民の義務も果たさずに、君たちが一生懸命働いているうちに、僕は家で泣き喚いて、残薬を数えて、ベランダに腰掛けて怖気付くことしかできないのだ。罵ってくれて構わない。君にはそれだけの価値があるし、僕に反論できる余地はない。

とはいえ、生きてくためには働くしかない。カウンセリングの過程で障害年金生活保護など勧められたこともあるが、基本的には働いて健常者と同じ生活をしたいのだ。僕は手帳もおりていないし、なんせ可能か不可能かという話を抜きにすれば働きたい。逆にそれが割り切れる、というか必要な時に適切に利用できる人は積極的に利用すべきだと思う。そのほうが健康で文化的な生活が送れるようになると思うし、君も僕も幸せになれると思う。誰も不幸になんてならない。

割り切れない人や制度から漏れた人は、苦しみ続けるしかない。いつか、なにか、だれかから救われることを夢見ながら徐々に落ちていく生活水準に苦しみ続けるしかない。


詐病という言葉があるらしい。

雑に言えば、仮病でなにかしらの恩恵を受けようとしてることらしい。詳しくは知らないから「らしい」としか言えない。少なくとも社会人になって詐病で得られるメリットなんてない気はする。

精神的な病はしばしば仮病だと言われる。わからないこともない。自分が理解できないものは信じられないのだろう。例えば、娘息子が揃いも揃って自殺未遂で救急搬送されていることとか、ストレスで39度の熱を出していること、働きに出られなくなってしまうことなんかは理解できないから、曖昧な「気の持ちよう」とかいう言葉で片付けてしまうのだ。

理解してくれなくてもいい。してくれなくてもいいから、それならば僕に言い放ったように医師に「こいつが死んでも仕方ないと思っている」と伝えてほしい。その上で僕は医師と話しをしたい。


カウンセリングで一般的につらいとされる出来事についてニコニコすらすら話せることがおかしいと指摘された。痛覚が鈍化しているのだと。

この辛さも早く鈍化してほしい。