この物語はフィクションです

実在の人物、団体とは関係ありません。

やったら付き合えないなんて嘘

26年生きてきて、たったの2人しか付き合ったことがない。

世間的にそれが多いのか少ないのかは分からなかったけれど「たったの2人」と言った通り、自分としては少ないような気がしていた。

1人目の彼氏は5年付き合った。2人目の彼氏は4年付き合った。おそらく交際期間としては長いのだと思う。

結局別れてしまったのだから、何年付き合っていたかなんてどうということはない。だけど2人の彼氏と付き合っていたことを後悔したこともなければ、2人を人間として嫌いになることもなかった。別れた直後は別として。それに2人とも当時の私が知る限りではとても尊敬できる人だった。だから交際していた過去は綺麗な思い出だし、誇らしかった。別れた後や付き合う前のことは知らないし、知る必要もない。


おこがましくも、2分の2で長期間の交際をしてきた私は「自分と付き合う人がどんな人でも私がある程度気を回せば長続きする」という根拠のない自信があった。




しかし、よく考えれば全くもってそんなことはない。交際相手を決めるときに、大分ずるいことをしてきたからだ。

初めての彼氏と数ヶ月で別れなかったのは意地だったし、そのあと交際が続いたのはたまたま相性が良かったからだ。2人目の彼氏と長続きしたのは付き合う前の曖昧な期間が長く、かつその期間でなんの問題もなかったから安心して付き合えたからだし、彼が死ぬほど優しかったからだ。私が何か努力をしたわけではないし、私に何か特別な性質があって長続きしたわけではない。


そんな過去にすがりながら生きているから、数ヶ月で付き合ったり別れたりする人たちを見るとふしだらだなあ(もしくは元気だなあ)と思う。かくいう私は、数ヶ月で付き合ったり別れたりはしないけれど、朝昼晩で違う男と関係を持つこともある。どちらがふしだらなのだろう。私の価値観で言えば前者の方が確実にふしだらなのだけど。


これも私の価値観であり、普遍的なものではないだろうが、一晩の関係乃至セフレになったときに男性は交際を望まず女性ばかり恋に落ちるという考え方が大嫌いだ。

関係を持った途端熱が冷めるのは女にもあるし、どうしようもなく抱かれたくなってわざとちょろくあることもある。嫌いじゃないしいいやつだからいい友達でセフレだけど彼氏にするのは違えなっていう人も山ほどある。というより、そんな相手ばかりだ。私に言わせてみれば、やったあと付き合いたがるのは男の方だ。でもこれも狭い世界で私が培った偏見なので普遍ではない。そもそも偏見に普遍性などない。


ところで、数ヶ月前酒の席で私に「それは相手に遊ばれているから次を探したほうがいい」と言った男がいた。見てるか。そもそも遊びは両者が同意していなければ成り立たない。知っとけ。その時の相手は今の彼氏だ。何ヶ月続くかは知らんが。